蒲生邸事件

蒲生邸事件 (文春文庫)見るからに分厚いこの本、読み終えました。長かった…はずなんだけど、そこまで長く感じませんでした。普通の文庫本くらいの感じ。面白いから長く感じないんでしょうね。
図書館で、宮部さんの本がある!歴史モノっぽくない!と思って手に取ったのですが、主人公が二・二六事件の日にタイムスリップするお話。主人公は現代人、舞台は昭和11年。そこで事件が起こって…なんていうとほとんどサスペンスみたいな気分になりますが、そういう感じでもありません。一口で言い表せない宮部さんの本の魅力。
「昭和11年も今もそんなに変わらない。ただ違うのはスイッチひとつでできることが少ないだけ。だからその分必要な仕事が多い」というような下りがあります。今はそういう仕事が減って、代わりにエンタテイメントの仕事が増えてるわけですね。主人公は昭和11年の仕事はやりがいがあるんだろうと羨ましがるけど、確かにそれはわからないでもない。その分ないものはいっぱいあるわけで、どっちが幸せとも言えませんけど。たぶん、どっちの時代もそれぞれ幸せだし、それぞれ大変なんでしょう。
ないものねだりしたくなるもんで、「あの頃は良かった」という人たちはいるし、昭和の人も平成の時代を知ったら「平和でいい時代ですね」というかもしれないけど。

あまりに無知な私は読みながら「蒲生さんて実在したのかな?」なんて思ってしまいましたが、そんなハズはなく、しかもモデルになった人もいないそうで…凄い、宮部さん。

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