人工知能

心を交わす人工知能  言語・感情・倫理・ユーモア・常識図書館で予約してた本がどんどん順番まわってきてしまってため、応用情報の試験前もちょいちょい本は読んでいたのですが、全く記事が追い付いていない状況…。図書館の予約ってなんでこうまとまって順番まわってくるんでしょう。しかも試験前とかそういう時期に…。

そんな予約した本の一冊。

第1章 人工知能の「心」を研究するとはどういうことか
第2章 言語獲得の実現:言葉を覚えるコンピュータ
第3章 感情処理:感情を理解するコンピュータ
第4章 倫理の獲得:善悪がわかるコンピュータ
第5章 ユーモア処理:ユーモアがわかるコンピュータ
第6章 常識の獲得:常識がわかるコンピュータ
第7章 意識と自我:心を持つ人工知能に向けて
第8章 心を交わす人工知能のつくり出す未来

筆者たちの研究を素人向けに説明するという内容ですが、それだけでなく周辺の研究紹介もあり、非常に面白かったです。説明もとてもわかりやすかった。

感情や倫理、ユーモアを理解するコンピュータを作ろうと思ったら、その仕組みを知らないといけないわけで…心理学と被る部分もありますが、心理学とは目的が違う (心理学では感情が生じる仕組みを解明できれば良いわけで、それを実現する方法は興味ない) ので心理学の知見だけで実現できるものではない、と。なるほど。
それにしても言語獲得、感情処理、倫理、ユーモア、常識、とそれを実現すること自体も目的なのでしょうが、その仕組みを詳細に解明すること自体も目的なんだろうな、と思いました(そんな記載もあったかな)。「ここまでコンピュータで実現できたけど、人間と比べると○○が足りない」と言ったことを繰り返してく過程は非常に面白そうです。

「常識」や「倫理」を判断するのに、インターネット上にあるブログなどの記事を使っていて、それは「多数の判断は正しい」という仮説に基いているわけです。それがちょっと抵抗あったのですが、実際「本当にその前提が成り立つのか確かめたいという興味から開発した面もある」とのこと。そして「結果としては試みは成功し、自由入力に対応できる世界初の倫理判断システムを構築することができた」ということです。正答率は7-8割。
興味深いなと思ったのは

当初は多数決のボーダーラインを66.6%にしていたが、新しく数百の入力文に対して実験を行った結果、60%の方が結果が良くなることが明らかとなった。(中略) 悪いことをしてそれが良いことのようにブログに書いたとすると、読者の反感を誘い、自分の評判が落ちる恐れがある。そのため、普通はそう書かないが、一方でわざと反感を買うようなブロガーもいる。こうした人はさまざまなリアクションを引き出すため、実はシステムにとっては重要な知識源になる。

このあたり。
ただまぁ「多数の判断は正しい」という仮説については、やっぱりまだ受け入れ難いところあるし、「正答率」もどうやって判断するの?というのも気になる(たぶん甲乙つけがたいような問題はテストに使わないんだろうけど)。

気になるといえば、ユーモアについて、1章では「彼の服はほんといつも汚れているよね。服を着替えるのが面倒くさいのかな?」「私は洗濯が得意なので、服を着たまま体ごと川に入れて洗ってあげるよ」という会話を聞いたロボットがユーモアを理解できないと、本当に服を着たままの彼を川で洗ってしまおうとしてしまうかも、という話をしていたはずなのに、5章で出てきたのは駄洒落の話ばっかりで、結局1章の話はどこへ行ってしまったんだろう?と思いました。

…とまぁ、気になったところもあったけど、とにかくとっつきやすい内容だったのでとても面白かったです。一般人が想像する人工知能と繋がりやすい内容で良かった。やっぱり気軽に読むなら、一般人向けの入門が楽しい。思いっきし頭使うのもいいですが、試験後なのでそういうのはしばらくパス?

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