ことばの獲得

0歳児がことばを獲得するとき―行動学からのアプローチ (中公新書)出産からばたばたとした日が続きましたが、8月に入ったくらいからようやく生活が落ち着いて育児以外のことをやる余裕が出てきました。趣味で勉強してみたり、近所の図書館に授乳室があることがわかったので本借りて隙間時間に読んでみたり、保育園見学に行ったり。
というわけで読書もようやく再開して、いろいろちょっとずつ読んでます。

で、この本。
タイトル通りの内容なのですが、行動心理学、発達心理学な話だけかと思いきや、人間が声を出す仕組みにも言及しててそこがなかなか面白かったです。

  • チンパンジーを始めとする他の哺乳類も気管に声帯をもつ。肺から空気を送り出す作業に便乗して発声する。
  • ヒトがチンパンジーと違うのは舌や唇を使って声を加工できること、母音様の音を出せること。これは肺からの空気を口へ送り込むことで実現している。
    一方チンパンジーは、喉の作りがヒトと異なり、肺から口に空気を送り出すことができないのでこれができない。
  • ヒトは、口から食道へも気管へもいけるようになってる。これにより、言葉を話せるようになったが、食べ物が気管の方へいってしまう危険があること、食べながら話すことができないこと、という欠点もある。
  • チンパンジーの場合、空気は鼻-気管-肺というルートを、食べ物は口-食道、というルートしか通らないようになっているので、これらの欠点はない。食べながら発声ができると、食事中に敵が表れたときにも仲間に知らせることができる。野生の動物には大事。
  • 3ヶ月未満の赤ちゃんの喉の仕組みはヒトの成人よりもチンパンジーに近く、チンパンジー同様、空気と食べ物のルートがわかれている。だから、誤って母乳が気管の方へ流れ込んで窒息するようなこともない。母音様の音が出せないため、成人とコミュニケーションがとりにくくなるが、気管へ母乳が流れて窒息するような事故を防ぐため(幼ない赤ちゃんにとっては致命的な事故となる)。

だいたいこんな感じです。詳しくはこの本の第3章「はじめての声がわり」をお読みください。

(3ヶ月未満の)赤ちゃんは舌が口の小ささに対して大きいし、(↑の通り)空気を口から吐き出せないので、母音様の音を出すことはできないそうです。なるほどねぇ…。
クーイングや喃語との関係は? ちょっとぐぐると、

クーイングは、だいたい生後2ヶ月頃に見られます。音を作る器官が少しずつ育ってきている証拠です。
そして、骨格が整い、口の奥にある音を作る器官が成長することにより、「あう」「あむ」や「ばぶ」などの、2つ以上の音のある声である喃語を発するようになります。

とのこと。(赤ちゃんの喃語(なんご)とは?いつから出るの?|LITALICO(りたりこ)発達ナビ)
なるほど。

あと、赤ちゃんがどんな音を発したときにかわいいと感じるか?について。
多くの言語で母音はとても大事な要素なので、赤ちゃんが母音を含む声を発したときに「かわいい」と感じるそうです。中国語では音の高低が加わる、そして尻上がりの母音が一番難しいことから、中国人は尻上がりの声を発したときに「かわいい」と感じるそう。大人が喜ぶ音を赤ちゃんは繰り返し発するようになるので(反応が嬉しいから)、こうやって必要な発声を身に付けていくようです。
などなど。

うまくできているんですね。他にもそんなネタがいっぱい。とても面白い本でした。

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