現実的な

静かなリーダーシップ (Harvard Business School Press)
febeで次は何聴こうかなぁとラインアップを眺めてて、なんとなく「静かなリーダー」というタイトルに弾かれて説明を見てみると…

静かなリーダーとはどういう人か。それは「忍耐強くて慎重で、段階を経て行動する人、犠牲を出さずに、自分の組織、周りの人々、自分自身にとって正しいと思われることを、目立たずに実践している人」である。

これは面白そう。というわけで、聴いてみました。
いわゆる「リーダーシップのある人」と聞いて思い浮かぶ人物像とはちょっと違いますね。いわゆる「リーダーシップのある人」はこの本では「ヒーロー型リーダー像と呼ばれています。

訳者あとがきの冒頭の

本書は普通の人々のリーダーシップの話である。従来のかっこいいヒーロー型リーダーでも、MBAコースで経営エリートに理論的にリーダーを語る本ではない。組織のごく普通の人が道義的、倫理的に正しいことをしては自分の身が危うくなる際に自らの保身を図りつつ、その正しいことを為し遂げるにはどうすればよいかを書いた処世術の本である。

この説明がわかりやすい。リーダーシップ論というよりは、行動の指針を示した本と思います。

各章に1つの行動指針と具体的な(よくありそうな)エピソードが載っていて、とてもわかりやすい。(指摘点があるはずなのに)いい加減な査察で良い点をとってしまった陸軍大佐の話とか。いいかげんな評価で良い点とってしまったけど、その評価方法に問題がある、でもそれを上司に申告すると自分ミスも申告するハメになる、なんてありそうな話。
具体的には、

  1. 現実を直視する
  2. 行動はさまざまな動機に基づく
  3. 時間を稼ぐ
  4. 賢く影響力を活用する
  5. 具体的に考える
  6. 規則を拡大解釈する
  7. 少しずつ徐々に行動範囲を広げる
  8. 妥協策を考える
  9. 三つの静かな特徴

という内容(章構成)。
筆者曰く「エッセイ本」だそうで(最後にそう書かれていて、「え?そうなの?」て思っちゃいましたが)、自己啓発本に辟易していた私でもそんなに抵抗なく読めました。啓発本といえば啓発本ですが。
当たり前の話も多いかもしれませんが、例えば自分の信念を貫くためヒーロー型リーダーシップでは、自分の保身など考えず真っ直ぐと進んで行くのが美徳とされていたりしますが、静かなリーダーシップでは自分の保身も考えて行動する。その為に時間を稼いで地道に計画を練る、と。
最後の「三つの特徴」は「謙遜」「自制」「忍耐」のこと。地味ですね。でもこういう方が好感が持てるし、目指したいなぁと思える。

ただ「思い」に従って進めば良いわけでなく、きちんと冷静に状態を把握して、現実的な行動を取らないといけない。まぁ書くと当たり前の話ではありますが、大事なことですね。冷静沈着。

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