イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)
ベストセラー本というのはやっぱり面白いです。
ベートーヴェン5番ってやっぱり良い曲だよねっていうのと同じ。
初版が1997年ということは、もう20年も前の本ですが今でも色褪せることなく面白かったです。

内容をamazonより引用。

顧客の意見に熱心に耳を傾け、新技術への投資を積極的に行い、常に高品質の製品やサービスを提供している業界トップの優良企業。ところが、その優れた経営のために失敗を招き、トップの地位を失ってしまう――。本書は、大手企業に必ず訪れるというこの「ジレンマ」を解き明かしベストセラーになった原著、『The Innovator’s Dilemma』の増補改訂版である。
ハーバード・ビジネス・スクールの教授である著者は、この逆説的なコンセプトを、学問的体系に基づいた緻密な論理構成によって実証している。事例として取り上げるのは、ディスク・ドライブや掘削機といった業界のほかに、ホンダが進出した北米市場やインテルが支配したマイクロ・プロセッサ市場など。それぞれの業界で起きた「破壊的イノベーション」を検証し、それに対処できない大手企業の宿命ともいえる法則を導き出している。

ディスク・ドライブ業界について詳細に解析し、5つの原則を導き出し、その後他の業界で検証…という形をとっているため、ディスク・ドライブ業界の歴史の解説が長い…けど、半導体分野がファミリアな私にとっては本書の主題の他に、ディスク・ドライブその物の話もとても興味深く倍楽しめました。

5つの原則とは、

  1. 資源の依存。大企業の資源配分のパターンは実質的に顧客が支配している。
  2. 小規模な市場は大企業の成長需要を解決しない。
  3. 破壊的技術の最終的な用途は事前にはわからない。失敗は成功への一歩である。
  4. 組織の能力は組織内で働く人材の能力とは関係ない。組織の能力はそのプロセスと価値基準にある。
  5. 技術の供給は市場の需要と一致しないことがある。

破壊的技術が登場したときのその市場は小規模過ぎて、大企業の成長需要を満たせない。
だから大企業は破壊的技術でなく、確実に今の顧客を満足させ売り上げを伸ばせる持続的技術に固執する。
という話が「なるほど」でした。大企業が破壊的技術の製品を売り出すには、その市場の規模が大きくなるまで待つか、その部門をスピンアウトさせるしかない、と。あ、あと破壊的技術をもつ企業を買収する、というのもありました。でもこの買収した企業を吸収して大きな組織に混ぜようとするとうまくいかない。これまでとプロセスも価値基準も違うから。

こんな本、企業トップが読むための本なんじゃないの?なんて思いましたが、全然そんなことなく。非常に面白かったです。ホンダのカブの話とか、他業界の話も楽しめました。

ところで、MicrosoftはOS動作に必要なスペックをどんどん上げて「安いけど低機能」な破壊的技術を防いでいるというような話のあたりで、

破壊的技術、例えば、インターネットからダウンロードして、完全に機能を備えたコンピュータではなく簡単なインターネット端末で使えるアプレットにとってこの市場を下から侵食するチャンスである。

と出てきて、これって、ノートPCの市場がタブレット端末に取られてしまった話そのままでは?などと思ったのでした。すごいなぁ。
ちゃんと考えている人にとっては当然予想できた範囲の出来事なんでしょうけど。

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